週末に見たい1本の映画

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世界八番目の不思議



一昨日、無事卒業式を迎えることができました。今から思うと、充実した楽しい大学生生活でした。来週からは社会人として働かなくてはなりません。映画を好きな時間に好きなだけ見ることができない!映画について考える時間が少なくなる!もう学生でいられないのかと思うと、今から鬱状態です。そんな鬱気分も吹き飛ばす、いや踏み潰してくれるような作品を今日は紹介します。

日本国外には巨大生物がたくさん劇中に登場します。巨大アリ(『放射能X』)、巨大タコ(『水爆と深海の怪物』)、『タランチュラの襲撃』、『極地からの怪物 大カマキリの脅威』などなど枚挙に暇がありません。これらのモンスターは造形から動きまで、かなりリアリティがあります。リアリティはあるのですが、独創性はないです。独創性という点でいえば、同じ巨大生物でも日本の怪獣は素晴らしいですよ。口から放射熱線を放出したり、ぶっとい足で人や街を蹂躙したり、翼の羽ばたきで車が吹き飛んだりするのですから。独創的であり、かつ圧倒的な破壊力を有しています。

そんな独創的な怪獣の元祖が『キング・コング』です。コングはただゴリラを巨大化しただけではありません。日本の怪獣に通ずる独創性と破壊力がきちんと描かれています。ゴジラが何らかの意志をもって東京を焼き払ったように、コングも意志をもって髑髏島(スカル・アイランド)やニューヨークで暴れ回ります。その意志とはゴジラと同様にさまざまに解釈できます。白人ブロンド女性アンに対する恋であったり、白人に虐げられる黒人の怒りであったり…。しかも、このコングの意志を強調し過ぎていない所が1933年版の良いところです。キング・コングは2005年にもリメイクされていますが、2005年版はコングの意志が鬱陶しいほど強調しています。ほぼ人間のようです。しかもコングがアンとの恋を成就させてしまい、コングに対する恐怖が激減してしまっています。その点、1933年版のアンはコングをずっと恐れ、叫び続けているので、コングが恐ろしい怪獣であることが強調されています。それに、愛するアンのために、ブロントサウルスや翼竜と闘ったのに、最後までアンの寵愛を受けないというのも悲しくてカッコ良い!

そして技術面の話を少しだけすると、実はこのコングは人形で出来ています。最近だとティム・バートンの『フランケンウィニー』のように、人形を少しずつ動かして、人間が動いているように見せるストップモーション・アニメという技術を用いています。この技術はウィリス・オブライエンによって発展し、『ロスト・ワールド』そして『キング・コング』と使われました。ストップモーション・アニメが生まれて間もないころの作品なのに、コングの動きは自然で、人間と同じ画面に映っていても違和感がありません。画面は白黒ではありますが、技術の未熟さを感じさせないウィリス・オブライエンの技術、素晴らしい!モンスターの多いアメリカで、オリジナル作品では恐らく唯一の怪獣キング・コングを堪能してください。

それでは良い週末をお過ごしください。

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この素晴らしき世界





1996年に発生した謎のウィルスにより、全人類の約99パーセントは死滅した。そして2035年、地下に住んでいた人間たちはその原因を探るため、一人の囚人を過去へと送り出す。糸口はたったひとつ、“12モンキーズ”という謎の言葉のみ。しかし主人公コールが送られたのは事件が起きる6年前、1990年だったのである。彼はそこで精神病院に入れられてしまい、謎の男ジェフリーに出会うのだが……。


allcinema 12モンキーズ』(1995)【解説】より―



2035年、ちょうど今から20年後、全人類の約99%が死滅する。ということは、『バイオハザード』シリーズ並みの人類死滅率でしょうか。ただ、『12モンキーズ』には頭がぱっかーんと割れてしまうような特殊ゾンビを含めゾンビは登場しません。そういった生々しい描写は排除されていますが、陰鬱な地下生活と廃墟と化した地上世界によってウィルスの恐怖が視覚的に知覚的に感じられます。主人公コール(ブルース・ウィリス)のいる空間は檻に囲まれ、檻の外も全体的に錆びた金属のような色合いの空間です。そして地上は真っ暗で、生気を感じません。見ているだけで、呼吸がしにくくなるような鬱屈した気分になります。

 

この死のウィルスによって汚染された地球を何とかするために、コールがタイム・トラベルします。そのためのタイムマシンは技術が未発達なので、とんでもない時代・場所・恰好で過去に行くことになります。でも、ドラえもんのタイムマシンが22世紀に完成するのですから、これくらいの完成度でしょうね(笑)コールが行った時代とコールがその時代で残してしまった爪痕は主軸のミステリーを解き明かすクルーになるので、どのシーンも注意して観ておきたいです。点と点が線で繋がった時の快感はたまらないですよ。

 

ここからネタバレ有りで感想を書きます。未見の方は、ご覧になってから続きをお読みください。

 

 

映画のエンド・クレジットで僕は「えっ?」と思いました。なんで、ルイ・アームストロングのWhat a Wonderful Worldなのだろう…。だって、結局コールはウィルスの拡散を防ぐことはできず、人類は死滅するんです。それなのに、色鮮やかに輝く世界への賛美が最後に歌われる。皮肉ともブラック・ジョークとも受け取れます。しかし、コールの視点で見ればどうでしょうか。コールはウィルスの蔓延した「死の世界」で生きることに嫌気がさしていました。アームストロングが歌っている「生の世界」で生涯を終えたいと望むのは当然です。「生の世界」とは、子供たちが笑い、鳥、虫、獣、草木花の溢れる世界。コールはこの世界に対する賛美を胸に息絶えていったとしたら、What a Wonderful Worldの選曲はピッタリなのでは?

そう楽観的に考えると、これはこれでコールさん幸せだったのかもと思えるようになりました。観終わった直後は、なんて後味の悪い映画なんだろうと思いましたが…。視点を変えれば様々に解釈できる映画なので、とても楽しめました。

 

それでは良い週末をお過ごしください。

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私たちの知らなかったお母さん



人間だもの他人がどう思っているのか気になりますよね。最近髪の毛を切ってもらったのですが、誰かが僕の頭を見ながらヒソヒソ話していると心配になります。「なに、あの髪型ウケるんですけどー」なんて言われていたらどうしよう。他人のことは気にするなと言われても気になります。考えてみると、家族にも自分はどう思われているのか気になるかもしれません。一番近くにいる他人だからでしょうか。

いや、むしろ自分のことをよく知っている人だからだと思います。反対はどうでしょう。家族は、特に両親は僕のことをよく知っているかもしれないけど、僕は家族のことをあまりよく知りません。一番近くにいて長く時間を過ごしているはずなのに。10代のときは何も知らなかった自分が恥ずかしかったり、悲しかったりしました。

でも『いつか眠りにつく前に』で、メリル・ストリープ演じるライラおばあちゃんがこう言っています。家族であってもすべては知ることができない。人間は謎めいた生物よ。

すべてを知っていると思い込んでいるから、辛くなるんですよね。知らない部分が多くあるのは当たり前のこと。すべてを知ることができないのだと分かると、映画の登場人物のように気持ちが軽くなりました。陰鬱なシーンが多い映画ですが、それでも根底には愛があふれています。家族のことがよく分からなくなってしまったときに見てもらいたい作品です。

それでは良い週末をお過ごしください。

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凡人の苦悩



アメリカでは目の大きな子供が描かれた絵画が大流行しました。その目の大きさは尋常じゃありません。まるで日本の少女漫画ほどの大きさです。大きな瞳を描いたのはマーガレット・キーン。しかし、誰もマーガレットが描いたとは思っていませんでした。マーガレットの夫ウォルター・キーンが作者として新聞やテレビに取り上げられたからです。

黒柳徹子ヘアの巨大おばあちゃんのようにウォルターはマーガレットから名前を奪い、マーガレットの絵を自分のものにしてしまいます。なぜこんなことになったのでしょう。この問いが『ビック・アイズ』の面白味の一つです。理由は3つあると思うのですが、全部言ってしまうと映画を見る楽しみがなくなってしまうので1つだけ。

多くの人が毎日会社に出勤して、粉骨砕身してお給料をもらっていると思います。けれども、誰でも一度は創造的な仕事をしてみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。認めなければ餓死という厳しい世界ですが、自分の能力が認められたら脚光を浴びることができます。かっこいいですよね。芸術家という職業はまさしく創造的な仕事で、芸術家として生計を立てることは僕も夢でした。

ウォルターは自分には絵の才能がないことを分かっているけれども、芸術家に対する憧れがあった。芸術家のように振る舞いたかったんですね。そのために、マーガレットにゴースト・ペインターになってもらうなんて馬鹿げていますよね。でも、僕自身も芸術家になることが夢であったりしたので、ただ笑ったり憎んだりすることができませんでした。

最近のディズニー作品のような男性から解放されていく女性を中心に描いていますが、芸術家に憧れる中身のない男の虚しさ・可笑しさ・苦悩を描いてもいるので、とても楽しめました。

それでは良い週末をお過ごしください。

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みんなハッピーになろう



「あーすもくればー トゥーモーロー いいこぉとがあーるーはずぅさー」と赤毛の女の子が元気いっぱいに歌うミュージカル「アニー」がありますね。日本でも1986年から毎年公演されている人気のあるミュージカルです。ライブでは一度も見たことが無いので、見てみたいと思っています。そのアニーが2度目の映画化です。今作ではオリジナルを現代風にアレンジしているために、主人公の髪色から違っています。しかし、その分だけオリジナルへのオマージュが多くあって面白いですよ。

ストーリーは「現代風」の部分を除けば、オリジナルと大差ありません。大きく違うとするならば、ハニガンのキャラクターでしょうか。オリジナルでは完全に悪役だったハニガンが『マレフィセント』のようになっています。つまり、悪い人を演じているだけで、もともとは善人だったってことですね。ハニガンは身寄りのない子供たちを引き取ることで得られる収入で生計を立てています。しかし、ハニガンは子供たちを養う気ゼロ。歌手であったときの栄光にすがって、今の生活に対してストレスがたまっています。『スタア誕生』のノーマン・メイン、『ブルージャスミン』のジャスミンことジャネットみたいな感じです。つらいですねぇ。子供たちは「落ちぶれた元歌手」のストレスのはけ口になっていました。つらいですねぇ。そんなときでもアニーは笑顔を絶やさず、賢く立ち回ります。そんなアニーでしたが、大富豪スタックスとの出会いによって彼女の生活は一変します。彼女の生活だけでなく、彼女の周囲の人生までも変わってしまいます。

アニーという少女のおかげで、みんながハッピーになりました。そして映画の最後は『マンマ・ミーア』や『ジャージー・ボーイズ』のように(ほぼ)皆そろって歌い踊ります。ハッピーエンドが好きな人にはオススメの映画です。あと家族で見ると楽しめる映画でもあります。YouTubeで面白く加工された動画であったり、誰が見るんだっていう映画が映画館で公開されていたり、口から食べ物を吐き出したり…。小中学生が見たら喜んで笑うシーンが多くあるからです。ただ、登場人物たちの微妙な心の動き、ミュージカルの醍醐味である歌やダンスを楽しみたいと思っている人には残念ながら向いていないと思います。

それでは良い週末をお過ごしください。


拍手、コメントしてくださると嬉しいです。よろしくお願いします(^O^)

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